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(2003年5月度掲載レポート)

<ハンテッド>
*5月24日(土)公開*

ハンテッド


ベニチオ・デル・トロ“ハンテッド”はベニチオ・デル・トロ(追われる者)とトミー・リー・ジョーンズ(追う者)の一騎打ちが見ものの映画だ。

ところがもっと見応えがあるのが、2人の“演技”の一騎打ち。はっきり言ってストーリーは複雑そうに見えてシンプルなのだ。

だからこの2人の間に生まれる緊張感が勝負だったと思う。ベニチオ・デル・トロはあの目の下の黒さも手伝って、いつもよりちょっと危ない雰囲気を漂わせて、何をやっても見る人を退屈させない不思議な魅力を持っている

“ハンテッド”でもやっぱり凄いなーと、ただただ彼が演じるキレた男に惹きつけられた。トミー・リー・ジョーンズは今までで一番良い?と思わせる、一枚皮が剥けたような演技をしていて、今までとは違う彼に新鮮味を感じた。

ウィリアム・フリードキン監督はこの映画のストーリーの贅肉を思い切りそぎ取って、芯の部分だけをテンポよく展開させ、息つく暇もなく最後の男の一騎打ちに持っていく。

追う者、追われる者がそれぞれの技を使って命がけで戦う訳だけど、銃をバンバン撃つかわりにナイフやら石やら棒やら、アイデア商品ならぬアイデア武器を使って、最後は素手しかないという運びのいわゆる男対男の決闘を迎える。 完全なヌードより見え隠れの方がセクシーだという心理に従って、自分たちの肉体を使って少しづつどちらかの負けが迫っていく危機感が彼らの戦いを数倍も重厚にしていて面白い。

「トミー・リーはタフガイだよ」と言うベニチオ。
「彼はフットボールの選手だったから凄いスタミナの基盤があるんだ。僕はバスケットボールの選手だったから、フットボールに比べるともうちょっとヤワな感じかな」と笑う。

相手を殺す目的で雇われる傭兵に殺し方とサバイバルを叩き込む訓練学校の師と弟子が、紆余曲折の後で敵対し殺すか殺されるかというストーリーだから、ただの戦いではなく頭を使った特別の技を駆使した戦いになる。
「肉体的なトレーニングは勿論だけど、15分以内にマッチなしで火を点ける方法の訓練とか、動物の足跡を見抜く訓練とか地の果てでのサバイバルに必要な基本的な訓練も受けたんだ。そんな極端な状況に陥った事はないけど、そうなったら結構うまくサバイバルして行けるんじゃないかな。トミー・リーは僕よりもっとうまくサバイバル出来そうな感じだったなー。2人とも無口で、現場では談笑したり冗談を言いあったりということはなかったけどね。でも相手役としては最高だった」と“気難しいトミー・リー・ジョーンズ”の噂を否定するでもなく肯定するでもなく笑っていた。

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