ヴィム・ヴェンダースの最新作は『ベルリン・天使の詩』以来となる盟友ペーター・ハントケの戯曲を映画化したもので、2016年ヴェネチア国際映画祭正式出品作品。
柔らかい風が吹く麗しい夏の日、広々とした平原の遠くにはパリのシルエットが見える木陰のテラスというシチュエーションで、全編にわたり、女と男が織りなす会話劇。子供時代のことや、性体験、記憶、夏の本質、そして男と女の違いについて…女性的な視点と男性的な認識について延々と交わされる対話の魅力がなんとも印象的な大人の作品。
『３枚のアメリカのLP』（1969）、『ゴールキーパーの不安』（1971）、『まわり道』（1975）、そして『ベルリン・天使の詩』（1987）に続く、ペーター・ハントケとの５本目のコラボレーション作品で、ヴェンダース初のフランス語映画でもある。監督自身「100%思いのままに撮った生涯で初めての映画だ」と豪語するだけに、ヴェンダースの世界観が存分に楽しめる作品といえそうだ。