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上映中/公開予定作品
パリ・オペラ座 in シネマ 2025 オペラ「カルメン」
【特別料金】大人、シニア3,700円/大学生以下2,500円/割引不可/招待券等無料鑑賞不可
ジョルジュ・ビゼーが死の3カ月前に完成させた《カルメン》(1875年初演、パリのオペラ・コミック座)は、数あるオペラのなかでも抜群の人気を誇る。スペイン南部、アンダルシアの州都セビージャが舞台で、ロマや闘牛士、密輸業者など、この地方の印象を喚起する要素が盛り込まれている。これらは当時のパリの観客には、異国情緒をかき立てられる要素だった。むろん、異国情緒は音楽によって強調されている。有名な前奏曲に続き、馴染みやすいキャッチーな旋律が全編にあふれるが、とくにアンダルシア趣味を土台にした舞曲や行進曲がすばらしい。これは当時のフランスに、アンダルシアの女性は魅惑的に踊るというイメージがあったことに起因する。
だが、なにより魅力的なのは、カルメンという自由な女性像だろう。最初に歌う「ハバネラ」で、「恋は野の鳥、だれも飼い慣らせない」と強い自我を標榜し、ドン・ホセを誘惑しては、彼の運命を左右する。男性上位の社会で、このような女性像は女性にカタルシスをあたえ、男性にとっては、甘い破滅願望を叶えてくれる存在だったと思われる。その魅力は、今日の男女共同参画社会において、ますます高まっているといえよう。
(2017年7月16日 オペラ・バスティーユにて収録/上映時間︓2時間48分)
<音楽>ジョルジュ・ビゼー
<演出>カリスト・ビエイト
<出演>
カルメン︓エリーナ・ガランチャ
ドン・ホセ︓ロベルト・アラーニャ
ミカエラ︓MICAËLA MARIA AGRESTA
エスカミーリョ︓イルダール・アブドラザコフ
フラスキータ︓ヴァンニーナ・サントーニ
メルセデス︓アントワネット・ダンネフェルド
ダンカイロ︓ボリス・グラッペ
レメンダード︓フランソワ・ルジエ
スニガ︓フランソワ・リス
モラレス︓ジャン=リュック・バレストラ
リリャス・パスティア︓アラン・アゼロ
合唱監督︓ホセ・ルイス・バッソ
パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団
オー=ド=セーヌ県少年少女合唱団/パリ・オペラ座児童合唱団