『隠し剣鬼の爪』

製作発表レポート!

撮影所見学ツアーレポートはこちら!!

ユナイテッド・シネマ(株)
マーケティング部 西條 亜紀

山田監督初本格時代劇『たそがれ清兵衛』から早2年。『たそがれ清兵衛』は、数々の映画賞を受賞し日本映画史、そして時代劇に新たなる息吹を吹き込んだ渾身の一作。
そしてこの程発表があった第76回アカデミー賞では、『ラストサムライ』で助演男優賞部門にノミネートされた渡辺謙さんと並び、『たそがれ清兵衛』が外国語映画部門にノミネートという日本の映画ファンにはたまらなく喜ばしいニュースが舞い込んできたばかり。
そんな『たそがれ清兵衛』で描かれた、「忘れかけていた日本人の心」、あの涙と感動が再びスクリーンに帰ってくるのです!

山田監督が藤沢周平の新たな世界へ挑む時代劇第2弾、『隠し剣 鬼の爪』。製作発表記者会見が行われました。


【監督より】

「おととしの夏清兵衛を完成させた時から、僕はもういっぺん時代劇を作りたいなと思っていたんです。そして作るならば藤沢周平さんの原作でと。ということは山形県庄内藩が舞台で主人公は下級武士、時も同じく幕末動乱期、日本が大きく変わろうとしている不安な時期です。それこそ僕が見つけた鉱脈があるんじゃないかなぁという風に思ったわけです。だから同じ世界を描くことにこそ意味があると思いました。
さぁじゃ、どういう風に作っていくか、何するかはいろいろ議論がありましたが、若い侍の苦悩・彼の恋・それを取り巻く様々な激闘、その人間たちを描く中で今日の僕達の思いや悩みと重なり共感と不安を得られるのではないか、そんなものを表現したいと思いながら脚本を書きました。
『"時代劇"は何か?』というと、ある人が『我々の古い先祖の暮らし、その時代に生きた人々のことを愛しく、懐かしく偲ぶこと。それが"時代劇"の基本である。』と言ったのを読みとても共感したんです。『たそがれ清兵衛』はそういう作品であったし、今度の作品は物語も色合いも随分違いますが、やはりそういう想いを込めて、遠い時代に生きた先祖たちに限りない愛情と慈しみを覚えつつ、『隠し剣 鬼の爪』という凄みのあるタイトルですが挑戦して行きたいと思います。今度は前作以上に剣がクローズアップされる映画になると思いますよ。僕にとっては大きな楽しみで青春だなぁと思っています。」

【キャストより】

★ 永瀬正敏

8年振りの山田組出演、庄内海坂藩の下級武士であり"鬼の爪"という秘剣を伝授され劇的な運命に巻き込まれて行く主人公、片桐宗蔵役。

「また山田監督に呼んで頂けてとても幸せです。武士役は初めてなのでいろいろ教えてもらいながら精一杯やろうと思っています。」

Q. 夜公園で木刀を振り回し一人で稽古をしていて、ある晩お巡りさんに尋問を受けられたそうですね。(笑)

A. 年末特別警戒中に、夜中目立たないようにおもちゃの刀で練習していたら、やっぱり不審がられ30代なのに職務質問をさせられました。それからはさすがにビビって公園では練習していません。(笑)

Q. 剣の達人という役柄ですが、その練習でどのくらい上達しましたか?

A. まだまだ全然ダメですね。もっと頑張ります(笑)。今は先生について剣だけでなく心の問題も教えてもらっていてとても楽しい。

と、言葉少なで、シャイな感じの永瀬でしたが、なかなか面白い一面も披露してくれました。

★松たか子

今回が初めての山田組出演、片桐家に奉公し宗蔵が身分を超え切なく優しい愛を寄せるきえ役。

「今回初めて山田監督とお仕事でき非常に光栄です。映画の経験が少ないので、宗蔵様にも山田監督にも精一杯奉公するつもりで一所懸命やりたいなと思います。すごく女性らしい役なので、自分にはもったいないぐらい素敵な女性です。これから実際にいろいろなことが動き始めて、いろいろ教えて頂きながらそういう雰囲気を出していけたらなと思っています。」

Q. やせ細った役ということですが?

A. 私にそういう儚さがあまりないので(笑)、頑張ります!

どちらかというと普通っぽい感じを抱いていたのが正反対!! 品があり、あまりの美しさにビックリ!!
テレビで観た印象とはかけ離れ、とっても小柄でもちろん顔も小さいのは言うまでもありませんでした。

★吉岡秀隆

宗蔵が向き合う運命を厳しくも暖かい眼差しで見つめる親友島田左門役。

「また山田監督のもとで、一所懸命を通り越して夢中になれる現場で仕事ができるのを緊張しながらも楽しみにしています。宗蔵の痛みや一途さを同門で仲の良い幼なじみとして理解していきたい。」

やはり山田監督の作品にこの人あり!という感じです。どこかホッとさせる雰囲気は持って生まれたものなのですね。何にも流されない"我が道を行く"そんな感じが、また良かったです。

★小澤征悦

今回初めての山田組出演、宗蔵の親友にしてライバル。壮絶な果し合いをする事になる狭間弥市郎役。

「初めて山田監督の作品に出させてもらうということで、ものすごく緊張してますが、それ以上に楽しみな気持ちが上回っています。監督曰く、僕の目つきが鋭くて今回の役柄のイメージにあっているというお話でした。それであれば監督に全てを託して僕は自由にできたらいいなと思ってます。僕の役は宗蔵と同門で昔剣を一緒に習っていた役。人は希望を胸に抱いて生きているけど、どこで歯車が狂ってしまうのかが、やりながら何となく分かってもらえたらと思う。すごく楽しみです。頑張ります。」

ガッチリした体格で、監督の指摘の通り、キリッとした目元が印象的。正統派日本男児とでも言いましょうか。"男らしい"といった感じの俳優さんでした。

【監督へ6つの質問】

Q1.観客にどのような想いを伝えたいですか?

A. 現代の私達日本人も10年先のことはさっぱり分からない。共通した不安ていうのかなぁ、振り返ってみたら何だかひどい先祖の歴史を辿ってきたという反省もあるし、そのことはきっと幕末に生きた人達、特に侍達と同じだろう。彼らはいろいろ勉強もしてるし、アメリカ・フランス・イギリスなどの軍事力に怯えていたに違いない。どうやったらそれに追いつくのかってことに死に物狂いになっていたに違いない。軍事力を獲得することから科学技術や欧米化が始まったんじゃないかと思うんです。ただね、随分滑稽でトンチンカンなこともあっただろう。そんなことを、この映画のバックグラウンドとしたい。ガラガラと日本の国の屋台骨が崩れてしまうんじゃないかということを、永瀬君や吉岡君演ずる侍達は何か不安として感じていたに違いないし、事実そうなるわけですね。この映画の5,6年後にガラガラと崩れてしまう。民衆は不安の中にも恋をする。時代を先取りしようと懸命になって結果としてつまづいてゆく。「マクベス」なんですよ。弥市郎が小さなマクベスなら、悩めるハムレッドは宗蔵、ハムレットを支えるホレーションが左門、そんな風に頭に描きながら脚本を描きました。松さんはもちろんオフィーリアです。日本でこんなにふさわしい人はいませんよ。

Q2.今後も時代劇を続けていくのですか?

A. 映画を撮り終えた後は「あーしまったな。」といつでも思うんですけどね、「よーし、また自分に挑戦しよう!」っていう気持ちにもなる。その素材が時代劇になるか現代劇になるかはその時にならないと分からないですね。

Q3.殺陣を描く魅力について。

A. ドラマはクライマックスが命のやり取りとなると、ピストルだとバーンといったらだいたいそれで終わりで、名人であれば一発で相手を殺すんですよね。でも剣は何度も何度も振るってだんだん死んでいくから、一層面白く、ドラマのクライマックスとして激しく描けるんです。それが魅力ですね。剣を使うにしてもいろんな戦術の立て方を考え、いろいろ組み立てながら侍達は戦ったんではないか、そんなことをこの映画の中で描けると面白くもあり迫力も出るんだろうと考えてます。

Q4.永瀬さん、松さんのキャスティングの理由は?

A. 松さんはお芝居やこれまで出られた数々の作品でよく知っているし、楽屋でお会いした時の僕にとっての印象から、途中からは彼女のイメージを浮かべながら脚本を書きました。それは永瀬君も同じ。その人全体が素晴らしい、その人を役に当てはめた時に僕のイメージがさらに膨らんでゆくということから選んでいます。

Q5.もう一回時代劇を撮るのは、藤沢周平の魅力に取り付かれたからか、時代劇を作ることに取り付かれたからなのか、どういう思いがあるのですか?

A. 時代劇ってのは、いろいろな人間を見たりして現実を切り取ってパッと提示することが全くできない。その正反対で、全部作りあげていかなければいけない。その上で、尚且つ現実をさりげなくスっと切り取ったものを観客は観てゆく。その辺が苦労は多いけど面白さだったんですね。そのノウハウをせっかく手に入れたんだからもう一回やってみたいと、『たそがれ清兵衛』を作り上げた後で思ったわけです。

Q6.今回も秋田の角館でロケをするということだが、そこを選んだ理由は?

A. 物語は庄内。藤沢さんは鶴岡出身で彼のイメージの中にくっきりと鶴岡の城下町がある。実際は京都にセットを作り、京都亀岡市にオープンセットを建て、信州飯田市でクライマックスの戦いを撮ります。そんな風に転々としながら断片を重ね合わせるようにして庄内の侍を描きます。角館は、中級武士の家がそっくりそのまま何軒も残っているから。その家の内部、庭とか玄関とか座敷とかを庄内の侍の家に見立てて撮影させてもらいます。それは『たそがれ清兵衛』の時も同じでした。

2月中旬にクランクイン・4月末にクランクアップ・夏完成予定、そして今秋公開予定!!

時代を超えた物語が、再び私たちの心を揺さ振り、心に残る一作品になることでしょう。

『隠し剣 鬼の爪』はまもなく動き始めます。山田監督、そして出演者がどのように味付けをし、私たちの元へ届けてくれるのか。首を長くして今はまだ待つのみ。期待で胸が膨らみます!

私たちユナイテッド・シネマでは、撮影の現場にても取材を敢行する予定です。

どうぞみなさんお楽しみに!!


はじめのページへ戻る

Copyright 2004 United Cinemas Multiplex BV and its related entities.All rights reserved.