日米合作の話題作。そして"トム・クルーズ"。と言えば、映画ファンの方ならすぐにピンとくるでしょう。そうです!明治維新という日本の歴史の大きな転換期を描いた大作『ラスト サムライ』。
その『ラスト サムライ』のいまだかつてないような超ゴージャスな記者会見が全世界に先駆けてここ日本で行われました。
もちろん会見をしてくれたのはトム!そしてブラッド・ピットの『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』を監督したエドワード・ズウィック監督、日本の時代劇には欠かせない渡辺謙、真田広之といった日本のトップ俳優も顔を連ねました。そして記者会見会場の演出は「映画への情熱」「サムライスピリット」というテーマを受け、異なる文化や国籍を超えた役者としての友情も紡がれているという"綾"が幾重にも織りめぐらされた、まさにイベント的な雰囲気でした。
当日集まったマスコミの数、なんと、全世界20カ国約700名!トムの偉大さと今作への期待をまざまざと感じさせる会見となったのでした。
ユナイテッド・シネマ(株)マーケティング部 西條 亜紀




トムはこの日の早朝自家用機で着いたばかりだというのに、疲れなど微塵も見せずとっても元気!会見中には軽快にタップまで踏んでしまったりなんかして。真田広之さんや渡辺謙さんとの久々の再会に胸躍る様子で満面の笑みをたたえながら、会った瞬間に肩を叩きガシっと互いに抱き合い、皆かなり感激のご様子。事前に打ち合わせをしたのか、3人とも黒のジャケットに白いシャツ、しかもノータイ!言うまでもなく3人ともさまになってました!そしてもう一つ3人共通するものが!撮影の名残ともいうべき見事な"ヒゲ"なのでございました。

(トム)これまでたくさん映画を作ったけどこんなに誇りに思う映画は初めてだよ。日本の文化・サムライの道への共感はこの映画を通じて皆に伝えられるよう、僕たちから日本の皆へのギフトなんだ。

(謙)公開は待ち遠しいけど誰にも渡したくないほど自分の中で刻まれてしまった映画。

(真田)歴史的、画期的なプロジェクト。自分が日本人としてどこまで恥ずかしくないものができるかそれだけを考えてやってきました。二つの文化が集う現場でほんとに貴重な素晴らしい経験をし、世界中の人に日本の文化を見てもらえることが楽しみで仕方ありません。

(小雪)アメリカ映画として日本の文化・サムライを描くのは楽しみでもあったけれど正直不安でもありました。現場で自分は何が出来るんだろう、何を持っていかないといけないんだろう、すごく考えて現場に入ったんです。私達がやりたいことと、アメリカと日本が上手く融合していて今は安心しています。そんな気持ちが伝われば嬉しいなと思っています。

ピンク色のきれいなドレスに身を包んだ小雪は、ハリウッド大作への出演であるにもかかわらず気負った様子もなく堂々としていて、上品でしっとりとした女性のようでしたよ。





A.(トム)いい質問だねぇ。僕がこの映画を作りたかったのは"武士道""サムライの道"を知りたかったからなんだ。サムライの精神が持ってる"名誉を尊ぶ気持ち""情熱""忠を尊ぶ気持ち""共感するものを持つ価値観"それらの教えを持つサムライは非常に力がある。その"純粋さ"は全ての人の人生を輝かすものだと信じている。"武士道"についてだったら何時間でもしゃべれちゃうんだ!そのぐらい自分の心に響くテーマだから、サムライ文化の持つ"美""美学"、サムライの掟が持つ"力"といったものをこの映画でみなに伝えられたら嬉しい。

A.(謙)トムはこのようなナリをしているけど実は日本人です(笑)。と言うぐらい"武士道""サムライ精神"を分かっている。日本人の僕らでさえ「本当に分かってんのか?」っていう気持ちがあって、僕ら自身もこの映画を通して発見し探して行こうという気持ちになった。本当の"正直"って何だろう、"謙虚"って何だろう、という日常的なレベルでそういう事を感じながら撮影を進めていった気がする。誰かが説明するんじゃなくて、撮影の取り組み方やアクショントレーニングをする時の誠実さや思いやりなど、その精神の全てを映画に注ぎ込んだ気がしてる。

A.(監督)この作品が描いているのは日本の歴史の変換期。"武士道"の精神から人々は離れようとしている時代だ。そこで"サムライスピリット"は現代でも維持できるのかを問うている。日本のみならずアメリカ、世界全体が考えねばならない問題なんだ。毎日の生活の中でその価値観を維持できるのか自分たちに問うためにも問題を提起しているんだ。

A.(真田)全て語り尽くされてしまいました。(笑)するとトムは大笑い!
サムライというのは戦士としてだけでなく独自の文化・精神性・哲学を持っています。単なる戦士だけではないどういう精神構造をしているのか、そういった二面性を出せればいいな、自分に厳しく他人に優しくという武士の精神が今どれくらい残ってるのかな、そういうものがそれぞれに持っていればすごくいい世の中になるのにな、そういったことをもう一度見直すきっかけになってくれればと思っています。

A.(小雪)"武士道"とか"サムライ魂"というものは、あまり言葉で表現するものではないと思うんです。自分の精神性の中にあって、自分に誇りを持ち自分の生きる道をまっとうする、そういう自分の中にあるものを言葉を使って表現するものだと思います。今の時代でも信念や誇りを持って生きている人はすごく魅力的で私もそうでありたいと思います。





A. アハハハハ!僕は撮影前8ヶ月"殺陣"の練習をしたんだ。幸いに、この2人(=謙&真田)の素晴らしい先生がいていろんな事を教えてくれ、すごく助けてもらったよ。この2人はすごく運動神経がいい!僕は20ポンドも体重が増えたけど、役柄としても必要だったし、何より重い刀を振り回す力を得るためにも、また甲冑を着るためにも必要だったんだ。体を変えることを通じて"ネイサン"という役に精神的にもなっていくというとても素晴らしい過程を経て実りあるものになったね。
僕の剣道が下手だったらこの2人のコーチのせいだよ(笑)ハハハハ・・・。とにかく一所懸命トレーニングしたよ。





A.(謙)こんなに熱心な俳優さんを見たのは、他に真田広之ぐらいかな(笑)。最後のバトルシーンは鎧を着て朝から晩まで延々と撮影をしたのにその後にまた練習をするんですよ。それも「まだやるの?!」というぐらい。お互いを信じないと大怪我をするようなハードな"殺陣"シーンをやり、トムとは戦友というにふさわしい時間を一緒に過ごしたね。

A.(真田)もう本当にトムはタフ(笑)。トムも大笑い!
トムは練習熱心で、彼に一騎打ちのシーンがあると必ず僕も立会って稽古したんですけど、1日何十時間もリハーサルをして撮影の後にも必ず毎日1時間〜2時間、トムのテントで汗を流すんです。自分が納得するまで何度も何度も繰り返す役者根性は本当にすごかったですね。それに、初めてリハーサルで会った時には既にかなりの練習を積んでたのでもう形は出来上がってました。少しだけ日本の剣術としてより正確になるようにアドバイスをしたり直したりすると、教えたその場でどんどん吸収しサムライらしくなっていくんです。その過程で僕らも友情を膨らましていくような、役の成長と実際の生活そのものがオーバーラップしていたような気がします。信頼なくしてはお互い命を預けられない貴重な経験をさせてもらいました。

(監督)この作品での"殺陣"スタイルはこれまで見てきたスタイルのどれとも違う。非常に美しい動きだけど、とても危険で1歩間違えば命がとぶ危険をはらんだスタイルの"殺陣"なんだ。ここにいる3人の俳優は皆運動神経に長けていてしかも献身的。そんな役者根性を持った俳優は他にいないよ。もちろんCGも一切ないしね。(笑)




★ 自分に正直で誠実であること。
★ 友達に忠誠心を持ち忠誠を尽くすこと。
★ 友達や周囲の人達を助け合う気持ちが大切。
★ 誰かに良い事をして報いをみることは素晴らしいこと。
どんなことでもいいんだよ。微笑みを見せるだけでもいいんだ。こういうことを一人一人がしていけば、良い世界になっていくと思うよ。






最後に日本の出演者たちと写真撮影をし、トムはもう一度真田さん、謙さんとガッシリと抱き合い、監督と共にこの場を後にしたのでした。その後日本の出演陣による質疑応答が始まりました。




A.(謙)最初の段階では「こんなの本当に出来るの?」と正直思ってた。スタッフも外国の方がほとんどで日本人はアドバイザーで少しいるぐらいだったし。衣裳合わせやメーキャップやリハーサルなどあらゆる準備をしていくうちに、外国人スタッフの方々の相当な情報収集力とどう表現していこうかというエネルギーに頭が下がりましたね。僕達が違和感を感じるようなものに対しては僕達でチェックしていったけど、かなり深いレベルで彼らと話が出来たと思う。それは彼らが日本について相当準備をして待っていてくれたおかげですね。「これは日本の映画です」と胸を張って言える映画です。

A.(真田)日本で時代劇を作る時でも、学んできたことをもう一度見直してよりリアルに忠実にということをテーマに置いています。今回のスタッフの方達はさらにその延長線上にあったと言えるぐらい、リアリティにおいても、時代考証においてもかなり深いレベルまで追求していました。それでもちょっとしたカン違いや誤解はあったんですけど、アドバイスをしてあげると翌日にはきちんと直っているんです。納得すれば完璧に直してくるという技術とレベルの高さを感じましたね。そんな環境の中で、これから時代劇を作っていくうえで本当に学び取り入れるべきことが多いと深く感じましたし、この作品をきっかけに日本人だけでなくいろいろな形で日本をテーマにした作品が作られていけるかどうかの瀬戸際に立っている作品だと思います。嘘のないようにふんばったつもりです。世界配給の映画なので世界の隅々の人までも分かるようにリアリティとエンターテインメントの狭間で皆一丸となって頑張りました。日本人が観ても恥ずかしくない作品にしっかり仕上がったと信じてます。
この映画では「突入せよ!『あさま山荘』事件」を制作した原田眞人監督も出演しており、「配役される前は"プリンス大村"だったのに、僕が配役されたら"プリンス"がなくなってただの"大村"になってました。」と笑いを誘いつつ、真田さんらと同じくハリウッドスタッフの研究熱心さを語ってくれました。

(原田)日本人が描きたくても描けなかった19世紀の日本っていうのがこの映画にはある。日本人だから本物の時代劇が描けるということでもない。誤解はどこにでもあるし。僕らが一番気になったのは日本語のセリフでどこまで信憑性があるかどうかということだったが、スタッフは資料を細かく調べていて心配に及ばなかった。僕らから見てどうしたらより良いものになるか考えようと監督はとってもオープンで何回もディスカッションした。僕のセリフに関しては100%満足だよ。もしリアリティがないとしたら僕の知識不足だね。正確さやスケールの大きさが素晴らしく、本物志向で当時の日本の写真をもとに再現しているところが本当にスゴイ!"かつら"が当たり前とみなされてるけどこの映画では自毛でやったんだ。これからの時代劇を作るときには資料をもとに正確に再現し作っていきたい。今回多くを学んだ。




斬られ役40年という大ベテランで映画・テレビの時代劇には欠かせない存在である福本清三。
A. 初めて外国の"チャンバラ映画"に出ることになり、アメリカの方はどんな風に作るのか不安はありましたけど、ところがどっこいビックリするぐらい日本の立回りを研究していて日本では考えられないような技術も発達していて「さすがハリウッドだなぁ〜」と感心しました(笑)。もう一つビックリしたのがトムさんの立回りの上手さですねぇ。僕の経験から言って、1,2ヶ月立回りの稽古をしただけであれだけ形になるのは珍しいです。「えぇ!?」と思いましたね〜。それだけトムさんの映画に賭ける情熱っていうのが伝わってきましたし、"チャンバラ"は日本だけのものと思っていましたけど侮ってはいかんなぁ、外人さんだってあれだけ出来る人がいるんだからと感心しました。あと、日本人でも初めて着ると違和感を感じる"袴"姿を着たトムさんを見て「えぇ!?何でこんなに似合うのかなぁ」とビックリしたんですね。「さすが世界のトム・クルーズだなぁ」って(笑)まぁそのくらいトムさんがこの作品に入れ込んでいるのがすぐ分かりました。トムさんのまた違った面がすごく増え、違うトムさんの魅力を感じると思いますよ。この映画をぜひ観て下さい。
と、とっても独特なしゃべりで場内にいる人を一気に惹き付けてしまった福本さんなのでした。

なんと、10月25日より公開のタランティーノ監督最新作『KILL BILL』にも出演しているという、菅田俊。

A. トムさんのプロ意識を感じましたねぇ。"トム・クルーズエリア"っていうのがあるんですが、その真中のテントで必ず撮影前にはトレーニングをするんです。それも夏にも関わらず温風機をつけ部屋を暖め厚着をしながらなんですよ。そして酒もタバコもやらないんです。そしてトレーニングの後には丘に上がってまた立回りをするんですよ。トムさんのプロ意識は本当に勉強になりました。それから、謙さんと広之さんは自分の出番がなくてもほとんど全てのシーンで現場に立ち会ってくれました。そして納得がいかないシーンとかを監督とディスカッションしてくれるんです。そんな風に2人がハリウッドと闘っている姿がまさしく「ザ・ラストサムライ」だなと思いました。(笑)

若干13歳という子役の池松壮亮くん。まるで日本の"ハーレイくん"かのようにあどけなくまだまだ可愛らしさの残る男の子でした。しかし、お答えはかなりご立派!
A. こんなにすごい作品、こんなに素晴らしいキャストの方々の中で仕事が出来て本当に幸せと思っています。人生の宝物となる経験ができました。キャスト・スタッフの皆さんに感謝します。
トム・クルーズさんはとっても気さくで大スターとは思えないぐらいでした。他のキャストの皆さんも自分が出番でない時もアドバイスをくれたりして、とても良い人達に囲まれてこの映画を撮る事ができました。僕はまだ"武士道"というものが分かってないのでこの映画を観て学んでゆきたいです。



今回の会見ではまだ編集中という作品の一部分を世界で初公開され、ズウィック監督は「日本の歴史・敬意を表わすため。日本のみなの寛大な協力に対するお礼。」だと話してくれました。
美しい風景、スケールの大きさは言うまでもなく、見応え十分な迫力ある殺陣シーン、はたまた人間ドラマが絡み合い、期待度がますます増してくる映像でした!真田さんが教授したというトムの流暢な?!日本語も聞けますよ。
十分に調べ尽くされた資料をもとに作られた、真実にせまった時代劇がこの冬私たちの目の前にあらわれます。
公開は12月6日。乞うご期待!!





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